MLS -- Mitani Landscape Studio, Inc.--

PROJECT 三谷康彦の仕事

豊田市美術館

Toyota Municipal Museum of Art

コンセプト
ピーター・ウォーカー事務所での三谷の「卒業制作」。デザインの詳細までこだわって設計・監理を行ったプロジェクト。 建築は、有名な建築家の谷口吉生さん。谷口さんは素晴らしいスケール感とプロポーション感を持った建築家である。また当時 担当者で合った宣卓(ソン・タク)氏も比類なき素晴らしく優秀な若き建築家であった。
建築以外の部分に関しては、ほぼ全面的に三谷に一任頂 けた楽しいプロジェクトであった。
立地は、豊田の街並みを見下ろす小高い丘の上で、昔の城址、今は隅櫓が改築されて残っている。庭園の平場部分には小学校のグランドと木造校舎が建っていた。 隅櫓を含む丘の上の既存林と、小学校周囲に植栽されていた成熟したサクラの木々を計画の中に「歴史性」としていかなるコンテクストで取り込むかについて腐心。最終的には 軽やかな美術館と、歴史感のある森とを、池水で繋ぎ、ミステリアスで静謐、かつ美しいランドスケープとしてまとめ上げるというアイデアとなった。
池の中に、神秘的なドーナツ型の「Bubble Fountain」を配している。 前作の播磨科学公園都市タウンパーク池での水中のバブルラインの「失敗」を生かし、試行錯誤。ここでは、ほぼイメージ通り成功した。いまだに泡がミステリアスで静かなリングを描き、健在なのは設計と施工者のコラボの賜物か。バブルの製作協力は株式会社ベルックスの鈴木登久雄氏(現ベルックス会長)。
メインの石畳アプローチの幅は5,750mm。当初設計ではより広い柱割り一杯であったものを、現場にて調整し縮小した。結果としてはウォール高さやスロープ などとの関係、あるいは幅が狭くなった分アプローチが優雅で長く感じるなどの効果が醸成される事となった。石畳と大階段・池の護岸のカーブ壁、下の丸池の リング石護岸は、四国牟礼の和泉屋石材店和泉正敏氏製作。特に身障者用の切り下げ斜路などは一枚石を削り出して創っていただいた労作。
現場管理には、稲沢の優秀なランドスケープデザイナーの溝口一三さんにお願いし、素晴らしいデザイン協力業務をしていただいた。全般的に、Heavy Dutyを旨とし、永く人々に「愛され」そして「憩いを与え」、かつ次世代まで「残るもの」を創るように心掛けた。
基本情報
場所:愛知県豊田市小坂本町8丁目5番地1
Location: 8-5-1 Sakamoto-cho,Toyota-shi,Aichi
竣工:1995年6月
規模:30,041.35㎡(敷地面積)
内容:基本設計、実施設計、設計監理
設計監理:豊田市建築部第一課、谷口建築設計研究所
ランドスケープ担当:三谷康彦(PWP)
ランドスケープ現地監理支援:Landskip 溝口一三